富士フイルムの標準ズーム「XF16-55mm F2.8 R LM WR II」を持って、福岡県宗像市の離島・宗像大島(筑前大島)で撮影してきました。35mm判換算で約24-84mm相当をカバーし、全域で開放F2.8を維持する大口径ズームです。先代に比べてリニアモーター駆動とインナーズーム構造を備え、防塵防滴・耐低温(WR)にも対応しています。今回はFUJIFILM X-T5に装着し、f/2.8からf/7.1までの絞り、16mmから55mmまでの焦点距離を使い分けながら、夢の小夜島・風車展望台・大島灯台と馬蹄岩・中津宮と御嶽神社の4シーンを撮影しました。ISOは125〜250、撮影日は2026年5月30日、晴天の春の海が主な被写体です。
開放F2.8での描写――ボケ量・周辺減光・解像感
標準ズームの開放値がどれだけ実用になるかは、このレンズを選ぶ上で最も気になるポイントです。今回は45mm f/2.8と18mm f/5.6を中心に検証しました。中央の解像感は開放から十分高く、絞り開放を理由に被写体を躊躇する必要は感じませんでした。前ボケ・後ボケはズームレンズとしては素直で、輪郭が二線ボケになりにくい点が好印象です。

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 45mm | f/2.8 | 1/2700s | ISO 250
手前の松の枝を前ボケに使った夢の小夜島のカット。f/2.8開放でも朱色の鳥居や奥の松の幹はしっかり解像し、近景の松葉はうるさくならず柔らかく溶けています。中望遠域の開放で奥行きを作りやすいことが分かります。

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 18mm | f/5.6 | 1/680s | ISO 250
広角寄りで水面ギリギリから狙った一枚。手前の石の質感から奥の松の葉まで均一に解像し、四隅の流れや目立つ周辺減光はほとんど見られませんでした。広角端付近でも画面全体の安定感が高いことが確認できます。
絞り込んだときの描写変化
f/4からf/7.1まで絞ったときの変化も見ていきます。風景を画面全体でくっきり見せたい場面では、絞ることで隅々までの均一性とコントラストがさらに高まります。

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 16mm | f/7.1 | 1/450s | ISO 250
干潮で渡れる道が現れた夢の小夜島を、16mm広角端f/7.1で撮影。手前の濡れた砂地の階調から奥の防波堤まで破綻なく描写され、絞り込んだ広角端の安定感が出ています。空のグラデーションも滑らかです。

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 34mm | f/5.6 | 1/900s | ISO 250
風車展望台から玄界灘を望むカット。f/5.6まで絞ると風車のレンガの目地や草地の細部まできっちり解像し、遠景の海面の階調も粘ります。広い空と海の青の再現も色被りなく自然です。

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 34mm | f/4.5 | 1/1100s | ISO 250
大島灯台横から降りた馬蹄岩付近の海。f/4.5で透明度の高い海中の岩や藻の様子まで描き分けられ、近距離から遠距離まで解像が落ちません。透過光の多い水面でもコントラストが破綻しにくい点が確認できました。
AF速度・操作性――実際に使って気づいた点
リニアモーター駆動のAFは静かで素早く、半島の海や逆光気味の被写体でも迷いが少なく合焦しました。インナーズームのため全長が変わらず、構図を変えながらの撮影でも前後バランスが安定しています。今回はレンタルサイクルを降りてから御嶽神社まで歩く場面があり、登り坂はそれなりにきつかったのですが、ズーム全域を1本でこなせる利便性は移動の多い離島取材で確かな強みになりました。

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 29mm | f/5.0 | 1/70s | ISO 250
木立に囲まれた御嶽神社の参道。明暗差の大きいシーンでも、苔むした石段の暗部から木漏れ日の当たる社殿まで階調が残り、AFは暗い前景でも迷わず止まりました。1/70sでも手ブレ補正と合わせて安定しています。

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 34mm | f/4.0 | 1/240s | ISO 125
木々の隙間から海と鳥居を覗いた構図。手前の暗い枝葉から明るい海面まで露出差が大きい状況でも、遠景の鳥居にピンポイントでAFが合いました。逆光に近い条件でも大きなフレアやゴーストは出ていません。
このレンズが向いている被写体・シーン
今回の撮影を通して、このレンズは風景・スナップ・建築を1本で幅広くこなしたい人に向いていると感じました。広角端では海と空を大きく取り込み、中望遠側ではf/2.8で背景を整理した一枚も狙えます。防塵防滴で潮風や砂の多い海辺でも安心して使え、インナーズームの安定感も移動撮影に適しています。

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 55mm | f/4.0 | 1/1300s | ISO 125
望遠端55mmで奇岩の上にとまる鳥を切り取ったカット。f/4.0でも被写体の岩肌や羽の質感がシャープに残り、背景の海と遠景の山並みは自然にぼけて主役を引き立てています。広角から望遠まで描写の傾向が揃っている点が扱いやすいところです。
総評
XF16-55mm F2.8 R LM WR IIは、開放から実用的な解像感と素直なボケを持ち、絞れば隅々まで均一になる、扱いやすい標準ズームでした。AFは静かで速く、インナーズームと防塵防滴により屋外の移動撮影で安心して使えます。単焦点のような大きなボケや極端な軽さを求める人には別の選択肢もありますが、「1本で風景もスナップも建築もまとめたい」「天候を気にせず持ち出したい」という人には主力レンズとして十分応えてくれます。今回のように離島を歩き回り、広い海から細部の被写体まで幅広く撮るスタイルには、特に相性が良いと感じました。
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