XF16-55mm F2.8 R LM WR II 実写レビュー|熊本・山鹿で試した描写と操作感

FUJIFILM X-T5 XF16-55mm F2.8 R LM WR II Camera & Lens

FUJIFILM Xシリーズの標準ズーム「XF16-55mm F2.8 R LM WR II」を、熊本県山鹿市で実際に使用しました。

35mm判換算で約24〜84mmをカバーする大口径標準ズームで、ズーム全域で開放F2.8を維持します。初代モデルから光学系と駆動系が刷新され、リニアモーター(LM)採用のAFと防塵・防滴・耐低温構造(WR)を備えながら、サイズと重量を抑えたのが特徴です。

今回はX-T5と組み合わせ、熊本県立装飾古墳館・山鹿灯籠民芸館・鞠智城跡などで、F2.8からF6.4まで、焦点距離16mm・35mm・51mm・55mmを使い分けて撮影しました。撮影日は2026年5月23日、晴天の春の日中が中心です。

開放F2.8での描写:解像感とボケ量

まず開放F2.8での写りを確認しました。広角16mm側では画面中央から周辺まで解像感が安定しており、コンクリートの細かなテクスチャやセパレーター跡の点描まで描き分けられます。周辺減光はわずかに残りますが、絞り開放としては穏やかで、補正なしでも気にならないレベルです。

Processed with VSCO with hb2 preset

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 16mm | f/2.8 | 1/3200s | ISO 160

安藤忠雄設計の装飾古墳館。円形に切り取られた空とコンクリート壁を16mm開放で撮影しました。壁面の点状の穴が四隅まで均一に解像し、空の青からコンクリートの淡いグレーまで階調が滑らかに繋がっています。

Processed with VSCO with c8 preset

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 35mm | f/2.8 | 1/90s | ISO 250

落ち着く雰囲気のカフェ「metro」の室内を35mm開放で撮影。

手前のテーブルにピントを合わせると、奥の本棚は緩やかにボケて立体感が出ます。ズームレンズですが、被写体との距離を詰めれば背景を十分に整理でき、ボケの輪郭も硬さがありません。

FUJIFILM X-T5 XF16-55mm F2.8 R LM WR II

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 35mm | f/2.8 | 1/52s | ISO 250

同じ室内をやや引いて構図した一枚。色とりどりの絵本の背表紙が並ぶ本棚を、開放でも文字や色面がつぶれず描写しています。手前のガラス瓶のハイライトも素直で、にじみは抑えられています。

絞り込んだときの描写変化

F3.6〜F6.4まで絞ると、像面全体のコントラストとシャープネスが一段上がります。特に風景や建築のように画面全体を均一に写したい場面では、F5.6前後が扱いやすいと感じました。

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 16mm | f/3.6 | 1/3800s | ISO 250

F3.6まで絞ると、開放時に残っていたわずかな周辺減光がほぼ解消され、コンクリート面の質感がより均一に出ます。横位置で円窓を画面右に寄せた構図でも、四隅の点描が乱れず描けています。

FUJIFILM X-T5 XF16-55mm F2.8 R LM WR II

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 16mm | f/4.5 | 1/1600s | ISO 250

古墳館の外観をF4.5で撮影。ガラスのフレームやコンクリートの目地が直線的に描かれ、歪曲も目立ちません。空のグラデーションも段差なく繋がり、建築撮影で扱いやすい絞りです。安藤建築のミニマルな構成と光の入り方が、レンズの素直な描写と相性が良いと感じました。

FUJIFILM X-T5 XF16-55mm F2.8 R LM WR II

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 16mm | f/6.4 | 1/170s | ISO 250

古墳館近くの吊り橋をF6.4で撮影。手前の板の木目から奥の東屋まで広い範囲でピントが合い、木陰の暗部もつぶれずに緑の階調を保っています。日向と日陰のコントラストが強い条件でも破綻が少ないです。

FUJIFILM X-T5 XF16-55mm F2.8 R LM WR II

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 55mm | f/6.4 | 1/400s | ISO 250

菊池城の復元建物を55mm・F6.4で撮影。瓦一枚一枚や木組みのディテールが解像し、背後の山並みも輪郭を保っています。望遠端を絞った状態でも中央から周辺までの均一性が高く、記録的な建築撮影に向きます。

AF速度・操作性で気づいた点

リニアモーター駆動のAFは静かで、合焦までの動きに迷いが少ないです。明暗差のある室内でも、X-T5の被写体検出と組み合わせれば目的の被写体に素早く合います。重量はバランスが良く、X-T5に装着して半日歩いても手首への負担が少なかった点は実用面で評価できます。

FUJIFILM X-T5 XF16-55mm F2.8 R LM WR II

📷 FUJIFILM X-T5 | XF16-55mm F2.8 R LM WR II | 51mm | f/2.8 | 1/75s | ISO 1600

山鹿灯籠民芸館の薄暗い展示室で、吊り下げられた金灯籠を51mm・F2.8・ISO1600で撮影。開放のおかげでシャッター速度を確保でき、手前の灯籠の透かし彫りはシャープに、奥は柔らかくボケて奥行きが出ました。暗所でもAFが手前の灯籠に確実に合いました。

このレンズが向いている被写体・シーン

今回の撮影で扱いやすかったのは、建築・風景・室内スナップといった「広角から中望遠を1本でカバーしたい」場面です。

16mmの広い画角で空間全体を入れ、55mmで細部を切り取るまでをレンズ交換なしでこなせます。開放F2.8があるため、灯籠民芸館のような暗い屋内でも感度を上げすぎずに撮影できました。

被写界深度を稼ぎたい風景ではF5.6前後、被写体を浮かせたいスナップではF2.8と、絞りで描写を切り替えやすいのも汎用性の高さです。

なお八千代座はイベント開催中で入館できず、こちらは次回の課題として残します(笑)

総評:1本で完結させたい人の標準ズーム

XF16-55mm F2.8 R LM WR II は、描写の素直さ・全域F2.8・防塵防滴・軽量化のバランスが取れた標準ズームです。風景から室内スナップ、建築まで幅広く撮る人や、レンズ交換の頻度を減らして撮影に集中したい人に向きます。

単焦点のような大きなボケや極端な軽さを求める場合は、XF35mm F1.4などの明るい単焦点と使い分けるのが現実的です。

普段は本レンズを付けっぱなしにし、ボケや暗所を重視する場面だけ単焦点に交換する運用が扱いやすいと感じました。旅やフィールド撮影で「とりあえずこれ1本」と決めて持ち出せる信頼性が、このレンズの最大の強みです。

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